STEP 1|マッシング(糖化)
はじめての仕込みには BIAB(Brew in a Bag)がおすすめ
BIABは、大きな袋に麦芽を入れたまま1つの鍋でマッシングからろ過まで完結できる方法です。専用のマッシュタンやろ過槽がなくても、身近な道具で代用できます。
- 目の細かい濾し袋:麦芽用の大きめサイズなら袋ごと引き上げるだけでろ過が完了
- 100均の洗濯ネット(目の細かいタイプ):大きめの角型ネットを重ねて使うと手軽に代用可能
- さらし布・寒冷紗:昔ながらの布ろ過。目が細かく丈夫なものを選ぶ
麦芽のでんぷんを、酵母が食べられる「糖」に変える工程
粉砕した麦芽を温水と混ぜ合わせ、62〜70℃前後の温度帯でじっくり保温します。麦芽に含まれる酵素がでんぷんを分解し、麦汁のもととなる糖分(麦芽糖)を引き出していきます。
マッシングの種類と温度管理
| 方式 | 温度の動かし方 | 特徴 |
ワンステップ インフュージョン |
62〜70℃の単一温度を一定時間キープ |
もっともシンプルな基本方式。低温ほど辛口、高温ほど甘口寄りに |
ツーステップ インフュージョン |
50℃前後で保持→62〜70℃に昇温→77℃で終了 |
2段階で仕込みの再現性を上げたいときに |
| デコクション |
マッシュの一部を煮沸して本体に戻し、段階的に昇温 |
手間はかかるがコクと香ばしさが出る伝統方式 |
※ いずれの方式も77℃前後で酵素の働きが止まるため、この温度帯まで昇温して工程を終えます。
マッシングの方法は他に色々ありますか?
- ステップマッシング(多段階):ツーステップをさらに細分化し、複数の温度休止を挟む上級者向け方式
- BIAB(Brew in a Bag):麦芽を大きな袋に入れたまま1つの鍋で糖化〜ろ過まで完結させる簡易法。家庭醸造で人気
- RIMS/HERMS:ポンプと熱交換器で麦汁を循環させ、電動で温度を精密制御する方式
- シリアルマッシング:コーンや米など未発芽の穀物を先に別鍋で糊化し、本マッシュに合流させる方式
STEP 2|ろ過(マッシュフィルトレーション)
糖化した麦汁と、麦の殻(もろみ粕)を分離する工程
マッシング後のもろみを、麦の殻自体をフィルター代わりにしてゆっくりとろ過します。専用のろ過槽がなくても、目の細かい濾し袋やさらし布で代用できます。もろみを袋や布に入れて吊るし、自然に麦汁が滴り落ちるのを待つ方法です。絞りすぎると渋みや雑味の原因になるため、じっくり待つのが基本です。
はじめての方には BIAB(濾し袋を使う仕込み方)がおすすめです
BIAB(Brew in a Bag)は、大きな濾し袋に麦芽を入れたまま1つの鍋でマッシングからろ過まで完結できる方法です。専用のマッシュタン・ろ過槽が不要で、袋を引き上げるだけでろ過が完了するため、設備投資を抑えつつ本格的な全粒麦芽仕込みに挑戦できます。少量〜中量仕込みや、これから全粒麦芽ビールを始めたい方に特に向いています。
STEP 3|ボイル(煮沸)
仕込み前に|ボイルの水量計算ツール
煮沸中の蒸発ロスまで含めた正確な水量は、ブリューランドのボイル水量計算ツールで確認できます。
麦汁を煮込み、ホップの香り・苦味を引き出す工程
得られた麦汁を1時間前後、大きな釜で煮沸します。この際にホップを投入し、苦味・香り・殺菌の役割を同時に果たします。投入タイミングによって苦味重視か香り重視かが変わります。
| 投入タイミング | 役割 | ポイント |
序盤投入 (煮沸開始直後) |
苦味重視 |
長時間の煮沸で苦味成分が溶け出し、ビールの骨格となる苦味を作る。90分を超えると香り成分は飛んでしまう |
終盤投入 (煮沸終了間際〜火を止めた直後) |
香り(アロマ)重視 |
加熱時間が短いため香り成分が飛びにくく、柑橘・フローラルなど華やかな香りが残る。発酵後に加える「ドライホッピング」も同様の考え方 |
苦味の目安は、ブリューランドのホップ苦味計算機ページで投入時間からIBU(苦味単位)の概算を確認できます。
STEP 4|急冷(クーリング)
煮沸したての熱い麦汁を、酵母が生きられる温度まで一気に冷やす工程
100℃近い麦汁を、ウォートチラー(急冷器)を使って20℃前後まで急速に冷やします。ゆっくり冷ますと雑菌が繁殖しやすくなるため、「速く冷やすこと」自体が品質を守る重要な工程です。
イマージョンチラー
コイル状の管を麦汁に直接沈め、管内に冷水を流して冷やす方式。構造がシンプルで家庭醸造の定番
カウンターフローチラー
麦汁と冷水を管の中で反対方向に流し、熱交換しながら冷やす方式。冷却効率が高く大きめの仕込みに向く
プレートチラー
薄いプレートを重ねた熱交換器で冷やす方式。もっとも冷却効率が高く本格志向の醸造で使われる
イマージョンチラーの作り方(自作)
- 材料を用意する:食品対応の銅管またはステンレス管(3〜5m)、耐熱ホース2本、ホースクランプ、丸めるための型(灯油缶やペール缶など)
- 管をコイル状に巻く:管を型に沿わせて円形に巻き、鍋にすっぽり収まる直径に整える
- 両端にホースを接続:管の両端にホースをはめ込み、クランプでしっかり固定して水漏れを防ぐ
- 洗浄・消毒する:使用前に必ず管の内側を洗浄・消毒しておく
- 麦汁に沈めて通水:コイルを煮沸後の麦汁に沈め、片方のホースから水道水を流し、もう片方から排水すれば急冷完了
STEP 5|発酵(ファーメンテーション)
酵母が糖をアルコールと炭酸ガスに変える、ビール造りの主役工程
冷えた麦汁に酵母を加え、発酵タンクで数日〜数週間かけて発酵させます。酵母が糖を食べてアルコールと二酸化炭素を生み出し、麦汁がビールへと生まれ変わります。温度管理によって、フルーティーな香りが出たり、すっきりした味わいになったりと個性が分かれます。